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スタニスワフ・レム『短篇ベスト10』について
星新一がエッセイで、ミステリとSFの違いについて、前者は収束を志向し、後者は拡散を志向すると書いていた。拡散という言葉はまさにレムの作品にぴったりではないかと、この本を読みながら思った。 レムの作品においては、科学技術であれ、法律であれ、電化製品の販売競争であれ、一度何かが生じると、否が応でも拡大・発展が始まり、窮極の破綻にぶつかるまで加速は止まらない。物語はとめどなく飛び散っていき、不可知の領域は際限なく広がり続ける。宇宙のインフレーションを連想させるこのイメージは、未知の天体の謎をめぐる『ソラリス』や『天の声』に現れる。 その一方で、複雑化すること自体が目的となったかのような機械・仕組