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業種ごとの資産効率をどう判断するか?貸借対照表を読み解く⑦ | ジャイコミ
金融リテラシー講座 「投資のための財務分析」第10回 前回、資産の効率性を見る上ですべての会社に適用できる単純な基準はないということをお話しました。それでも何らかの基準を示すとすると、総資産回転率は、製造業は1倍以上、小売業は1.5倍以上、卸売業は2倍以上はあるべきだと、私は思っています。 では、前回の表1を見て、「日本製紙の0.74倍は危険域ではないか」となりますが、日本製紙の場合、いわゆる装置産業であって製造業の中でも設備にお金が要ります。0.74倍という数値はやや悪いという印象を持ちますが、危険な状態とは言えないと思います。製造業の場合、一般的に、加工組み立て型より素材型の方が設備にお金がかかり、総資産回転率や有形固定資産回転率は低くなります。 ニトリも小売業としては低いのではないかと見えますが、食品と非食品で資産効率はかなり違ってきます。ライフのような食品スーパーは売り場効率も良く小売業の中では回転率は良いです。それに対し家具販売は広い売り場が要る割には回転はよくありません。ニトリの数値1.31倍は小売業としては低いですが、家具販売なら許容できる数値だと思います。 JR東日本は0.37倍と極端に低い数値になっていますが、総資産の82%が有形固定資産になっているように膨大な設備を使って事業を行っている関係です。鉄道業というのは、売上高は総資産に対し小さく見えますが、売上高の大部分は付加価値が占めているはずです。 付加価値=営業利益+人件費+減価償却費として、貸借対照表には人材はオンバランスされていませんから、営業利益+減価償却費の総資産(100として)に対する割合を示したものが表2です。 JR東日本は、総資産に対し年間10.3%の付加価値(営業利益+減価償却費)を生産していることになり、他と比べ低くありません。 表2を見ると、資産効率の良かった三菱食品が一番低い数値になっています。三菱食品の場合資産の大部分は営業債権であって、リスクの低い資産で事業を行っていますから、これはこれでおかしくないのです。