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東方学院松江校定期講義「ラフカディオ・ハーンの小説を読む」 | 八雲会 | The Hearn Society:小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の研究・顕彰
1869年にアメリカに渡ったハーンは、新聞記者となり研鑽を積み、アメリカ時代に小説を書きたいという夢を抱き、1889年に『チタ』(Chita)、1890年に『ユーマ』(Youma)といった小説を出版している。 ChitaはLafcadio Hearn(1850-1904)が1883年に聞いたデルニエール島のハリケーンで生き残った少女の話を基に書かれた。この作品は1888年4月に『ハーパーズ・マンスリー』(Harper's Monthly)に載り、1889年にハーパー・ブラザーズ(Harper & Brothers)社より単行本として出版されたものである。ハリケーンが来て母親を海で亡くした主人公のチタは、漁師に助けられ、その夫妻に引き取られ、育てられた。成長したチタの元に偶然に本当の父親が現れるが、その父親は伝染病に罹り、瀕死で親子のなのりをあげないうちに、亡くなるという話である。チタは従来の評価ではプロット、人物像が弱いとされ、小説としては失敗作とみなされてきたものである。人物像は弱いところはあるが、そのかわりに海があたかも登場人物に一人であるかのような役割を果たしている。 また『ユーマ』はハーンが1888年10月頃題材を得て、実話を元に執筆をしたものであり、1889年2月頃脱稿し、1890年1月と2月に『ハーパーズ・マンスリー』に載り、1890年5月にハーパー・ブラザーズ社より単行本として出版されたものである。『ユーマ』は序章と14章からなる中編小説である。黒人奴隷の乳母ユーマの話で、強い意志の持った女性で、蛇を足で押さえて自分が乳母をしている白人の子供を助けたり、暴動の中でその白人の子供を守って一緒に焼死する。 小説としては不成功ではあるが、二つの話には人種を超えた母性愛が描き出されており、これら二つの小説には母への憧憬があますところなく語られている。これら二つの小説を再評価してみたい。 (「受講の手引き」より) 中村元記念館島根県松江市八束町に新しく開館した、インド思想、仏教学、比較思想学の巨星、中村元博士の記念館です。
八雲会 (The Hearn Society)