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Good Morning Yukon Vol.2 : Yukon-Good Day   : DIRECTION'S EYE : Direction
 僕たちは、恐怖な夜をやりすごし、川を下りはじめた。そろそろ距離を稼がなければ、あとで痛い目に合う。とにかく今日は、距離を稼ぐ! 前回のTeslin Riverは、最初から川幅が大きいし、川底も見えないし、ちょっと恐怖まで感じたほどだったが、僕たちがいるところは、まだまだ上流で川幅も狭い。だいたい3、4mと言ったところか。 川の流れもゆっくりでとても気持ちがよかった。出発前に水量が多いから危険と聞いていたが、今のところそんなことを感じることはなかった。むしろ水量が少ないんじゃないのと思うぐらい、川の流れはゆっくりで底までしっかり見える。空模様も綺麗な1日を予感させるようなブルーが広がっていた。 気持ちがいい! と口に出てしまうほど平穏で穏やかな日だった。まだ旅は序盤でしかないのに、考えてみれば今回は、いろんなことが起きるもんだと感心した。この先に何が起きるのか考えると怖くなってくるので、とりあえず考えるのはやめてこの平穏な時間を楽しもうと思った。しかしそんな平穏な時間はあっというまに過ぎてしまった。 しばらく漕いで行くと、なんだか川幅がさらに細くなった。そしてその先の反対岸の茂みに何か動くものを発見した。僕たちのカヤックが流れに乗って近づいていくと、のそっと大きな体が現れた! おお〜! うわ〜! でかい図体のムースが2匹現れたのだ! でかいな〜! 近くで見ると迫力がある。たぶんメスだな! しかしちょっとでかくて怖かった。おとなしい動物とはいえ、迫力に圧倒された僕は、近寄りたくはなかったが、僕らは、そっちに近づいている。 避けて通るにも川幅は狭く、避けようがない。僕は、なるべく刺激をしないように流れに逆らわず、通りすがろうとおとなしく彼女らの前を通過してしているとき、彼女らの大きい方が、フウ〜んと大きな鼻息を荒げた。僕は、その鼻息にビクッとして見上げると僕の斜め上に太陽と交差した大きな顔が太陽のハイライトの中に真っ黒になって浮かんでいる。そして、目だけがギョロッとこちらを流し目で見ている。しかしその目は、優しいまなざしで僕に何かを話しかけているかのように見えた。僕は、彼女と目が合ったままそ〜と通り過ぎた。そして後ろを振り返るともうそこには彼女らの姿はなかった。野生の動物をこんな間近に感じたことはなかったのでちょっと怖かったけど興奮した。 そして、ムースの興奮が冷め止まないうちに先を進んで行くと、今度はどんどん川幅が狭くなっていった。まるで上流に進んでいるような感覚であれよあれよと言う間に2m、1mと......あれれ? 大丈夫か? 川底もだいぶ浅くなってきた。川底の砂利までしっかり見えるぞ! あれよあれよというまに船底に水面下の石がゴリゴリと当たりはじめた。おいおい! 全然水量ないじゃないか? このままでどこまで行けるんだ! 先の方を見ると、あ?! 川が無くなってる! 川が無い? え? なんで? 20m先で川がなくなってるのである。 え〜! 川ないの? そして僕らの船はとうとう座礁した。さて、どうしましょうかね? ちょっと降りてこの先どうなってるのか見に行こうぜ! Seijiと僕は、船を降りて見に行くと、ああ〜! あった! 川があった! 10mぐらい先からまた川がはじまっている。川は、つながっているのだが川底が浅いため流木などが溜まっていてチョロチョロと道路脇の側溝に水が流れるかのようにつながっていた。さ〜て! この先は、次の川まで船を引きずりながら引っ張っていくしかない! とはいえまだ旅の序盤!  食料など荷物満載で意外に船は重く、引きずるのに相当な力が必要で、もし砂利にでもスタックしてしまったら、やっかいなことになる。 カヤックの先端についている停泊用のロープを綱引きするように腰を落としてズルズルと音を立てながら引きずった。う