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Interview #05 Yuri Yuri × 河原里美 : DIRECTION'S EYE : Direction
河原 今、おいくつなんですか?有里 33歳です。河原 お若く見えますね。有里 いえいえ(笑)。河原 有里さんは、どちらとのハーフなんですか?有里 父がパキスタンで、母が日本人なんですが、母に少しロシアの血が入っているみたいで、母方の祖母はちょっと外人みたいな顔をしています。河原 モデルをはじめたきっかけを教えてください。有里 スカウトされたんです。元々モデルさんが大好きで、テレビで『ファッション通信』をよく見ていたんです。それが18歳の時でした。当時の事務所のマネージャーさんが同じ地元に住んでいて、いつも駅で見かけていたみたいで、声をかけてくれて。河原 雑誌はストリート系が多かったんでしょうか。有里 最初がタレント系の事務所で、キャンペーンガールのオーディションが多かったんですが、次のモデル事務所に移籍してからは『mini』とか『MEN'S NON-NO』とか、ストリート仕事の時代でしたね。河原 今回みたいな撮影は初めてですか?有里 子供が生まれてからは、こういう感じの撮影も多いです。その前は、ストリート誌から『GLAMOROUS』みたいな強いテイストの仕事が増えて、そこから『LUIRE』や『WOOFIN' girl』をやるようになりました。 河原 どんどん濃くなっていったんですね(笑)。何度か『WOOFIN' girl』でご一緒させていただきましたが、編集の方も一緒に、好きなようにやらせてもらえるような自由ないい雑誌でしたよね。有里 夜中に集合して、レオタード姿で銀座を練り歩いたこともありましたね。河原 それ、私も一緒の仕事ですよ(笑)。夕方から仕込みをして、ここで話せないようなこともたくさんやりましたよね。見つかったら学生の撮影と言おうって。有里 皆すごい大人なのに。河原 すごいヘアメイクとすごい組み合わせのスタイリングとで。確かキャッツアイがテーマでした。編集長もすごく理解のある方で、遊びのある現場が多かったですね。キャッツアイだけに、強盗事件があった田崎真珠の前でわざわざ撮影したり。有里 スタイリングを提案するという感じじゃなくて、世界観を見せる感じでしたね。 田崎真珠の前で、バレーのバーレッスンしてるような感じで撮りましたよね。『WOOFIN' girl』のお仕事のなかでも1番記憶に残ってます(笑)。河原 お子さんは今何歳なんですか?有里 3歳です。今は千葉の海の方に住んでます。河原 ご主人はサーフィンがお仕事なんですよね。有里 プロサーファーなんですが、今は運営の仕事もしています。河原 千葉に住まれてどれくらいですか?有里 妊娠してからなので、4年目になります。妊娠して事務所も辞めて、一旦全部お休みして、最近になってから今の事務所に入りました。3年くらい休んでいましたね。河原 仕事をセーブしたのは、妊娠してから自然の流れだったんでしょうか。有里 ずっと仕事をしてきて、時代、時代で自分をうまく変えて、流れに乗って来てたんですけど、『WOOFIN' girl』やファッションの仕事があったり、Tokyo Girls Collectionのようなショーの仕事があったりする中で、自分はどこに行きたいんだろうとよくわからなくなってたんです。仕事はいっぱいあるけど、自分がどうなりたいのか考える時間もなく、いっぱいいっぱいになっていた時に妊娠したので、一度辞めてみようと思ったんです。河原 じゃ、いいタイミングだったんですね。ご一緒して知ってはいるんですが、元々ゆったりした性格なんですか? 海がそうさせたとか。有里 元々こうなんですけど、そうじゃないように見せるように頑張っていたというか、現場が楽しい方がいいんじゃないかとか、自分をどう見せるかに疲れてしまって、今が元々の素に近い感じです。常に周りのモデルさんもハイテンションだったりとか、自分のモチベーションを上げるために全然悪いことじゃないんですが、そこになろうとする自分を冷めて見ていたというか。純粋な気持ちで、モデルの仕事はすごく好きなんですが、それに付随したものがどうしても受け入れられないのに、平気なふりしてやってたので、心がどんどんマヒしていってたのかもしれませんね。河原 ご主人との出会いも大きかったんでしょうね。有里 そうですね、私がずっとプロポーズしていたんです。彼はバツイチで結婚に期待していなくて。河原 どうしてご自分からプロポーズされたんですか?有里 家族をつくったら楽しいだろうなと思って、「私と結婚したら幸せになれるよ」って3回プロポーズして断られて、4回目は向こうからプロポーズしてくれました(笑)。河原 いい話ですね。仕事モードから自分の中でも、自然に家族をつくりたい方向に移行してたんでしょうね。今は、1日どういう生活なんですか?有里 起きて、子どもを保育園のバスが家の前まで来てくれるので送って、家のことをして縫い物したり、本を読んだりしています。河原 いいですね。結婚して生活はどう変わりましたか?有里 子どもが生まれて1番学んだのが、丸ごと受け入れて愛するということです。いろんな面があるけど、その人がそういう人だっていうことを、受け止める大事さを学びました。河原 撮影中にお伺いした、ご夫婦でケンカをしていると、娘さんが絶対にお母さんを守ってくれるという話が微笑ましかったです(笑)。ところで、今の事務所は入られてどれくらいなんでしょうか。有里 ちょうど1年くらいです。仕事から離れてやっぱりこの仕事が好きだなと強く思えたんです。震災もあったことで、お母さんやお父さんという定義とかを取っ払って、自由に好きなこと、やりたいことをやっていける家族でいたいなって。夢は何歳になってもあってもいいし、もう1度頑張りたいなと思いました。河原 ご主人も同じ意見だったんですね。有里 そうですね。やりたいことがあるなら応援するから、と言ってくれました。河原 お子さんが生まれてから、仕事に向かう姿勢は変わりましたか?有里 もっと力を抜いて、素のままで仕事に行けるようになりました。別にしゃべれないならしゃべれないでいいし、自分を良く見せようとか思わなくなりましたね。1人でやってた時は、自分の個性を確立しないと生き残って行けないと思っていたんですが、なかったらなかったでいいし、あるんだったらあるでいいし、素のままでいると純粋に仕事が楽しめるようになりました。変わった趣味がなくてもいいし、面白いことを言ったほうがおいしいとか、ショーで1番最後に出なくっちゃとか、そう無理をしなくなりましたね。河原 1人で仕事をしていくのって、ある程度、鎧という意味での特別なパーソナリティみたいなものがないとできなかった部分が、私にもありました。有里 あの時の自分にはそれが良かったんだと思います。仕事の内容にも合ってたと思うし。河原 有里さんにとって家族とはなんでしょう。有里 自分が相手を何をしても受け止めてくれるように、家族にもそういう場所や存在になりたいです。河原 お母さんになって、これからモデル以外にもやりたいことはありますか?有里 子どもが生まれて仕事がしたいと焦っていた時期に、事務所に入って今の流れのお仕事に合わせて、「髪や眉を茶色くして薄くして」という意見を取り入れてたんですけど、何ヶ月か前にNYCに行っていたヘアメークの友達が仕事に呼んでくれて、久しぶりに撮影をしたんです。その子に「日本にいると、時代に合わせて自分を変えることがいいと言われない? ニューヨークはそのままで自分を生かせるんだよ。来れば?」って言われた時にハッとしたんです。自分を変えてどこか違う色になるっていう考えをやめて、自分らしくいたいなと。いっぱい仕事がなくても「ぜひ有里ちゃんで」と言ってくれる人達とそういうスタンスで、ゆっくりやっていきたいなって。NYCはすぐには行けないですが(笑)。河原 この対談をしていて思うんですが、私も含めて「どれだけより自分らしくいられるか」がテーマだと思うんです。ところで、お子さんがおいくつの時点でまたやりたいと思ったんですか?有里 震災の後ですね。娘が1歳の誕生日を迎えたころです。明日があるかわからないなら、今やりたいことをやろうと思って。震災の時に、夫の友達がいる宮崎に、娘と私とふたりで先に行っててくれと言われたんですが、私はちょっと違うかなと思って。家族で震災を受け止めて、どう生きていくかがテーマでしたね、当時は。やっぱり怖かったですけど。だからあの時はケンカをいっぱいしました。河原 でも家族と話すのって大事ですよね。お互いこう思ってるはず、って思い込みもありますし。では最後に、将来の目標を教えてください。有里 ハワイに別荘を買います! マウイに住んでみたいなと。一軒家でギター弾いたり歌をうたったり、絵を描いたりして生活したいです(笑)。河原 理想的ですね。絵が浮かんできました。有里 庭にブランコがあったりして。でも旦那には「夢物語だ」といつも言われますけど。河原 でもそれはバランスいいじゃないですか。有里 2人で言ってたらアホな夫婦ですからね(笑)。河原 旦那さんがサーフィンを仕事にされてて海の近くに住んでいる時点で、私からすると夢みたいなものですけどね。有里 でも千葉に住んでいると、東京も夢みたいに見えますよ。なんでも近くにあって、すぐに友達にも会えますし。離れるとすごくいい所だなって。有里 Yuri東京都出身のファッションモデル。『GLAMOROUS』『ar』『Cher』などのファッション雑誌で活動するほか、広告やコレクションでも活躍中。現在は1児の母。千葉の海沿いの町で、家族3人で暮らす。公式ブログ「Lunar rhythms diary」http://ameblo.jp/yuri-hana/■過去掲載記事:Interview #00 KakazuInterview #01 Miyuki KoizumiInterview #02 MakiInterview #03 SachiInterview #04 Yumiko HaraPhotograph by Masayuki Furukawa (d-cord)Text by Kazuki Hoshino