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杉原千畝 | Case Of Akvabit
2015年。戦後70年を締める一作として観たのは杉原千畝。言うまでもなく日本のシンドラーとして知られる人物だ。とかく日本人が悪者扱いされやすい第二次世界大戦において、日本人の美点を世に知らしめた人物である。私も何年か前に伝記を読んで以来、久しぶりに杉原千畝の事績に触れることができた。 本作は唐沢寿明さんが杉原千畝を演じ切っている。実は私は本作を観るまで唐沢さんが英語を話せるとは知らなかった。日英露独仏各国語を操ったとされる杉原千畝を演ずるには、それらの言葉をしゃべることができる人物でないと演ずる資格がないのはもちろんである。少なくとも日本語以外の言葉で本作を演じていただかないとリアリティは半減だ。しかし、本作で唐沢さんがしゃべる台詞はほとんどが英語。台詞の8割は英語だったのではないだろうか。その点、素晴らしいと感じた。ただ、唐沢さんはおそらくはロシア語は不得手なのだろう。リトアニアを舞台にした本作において、本来ならば台詞のほとんどはロシア語でなければならない。しかも杉原千畝はロシア語の達人として知られている。スタッフやキャストの多くがポーランド人である本作では、日英以外の言葉でしゃべって欲しかった。迫害を受けていた多くの人々がポーランド人であったがゆえに英語でしゃべるポーランド人たちは違和感しか感じなかった。そこが残念である。しかし、唐沢さんにロシア語をしゃべることを求めるのは酷だろう。最低限の妥協として英語を使った。そのことは理解できる。それにしてもラストサムライでの渡辺謙さんの英語も見事だったが、本作の唐沢さんの英語力と演技力には、ハリウッド進出を予感させるものを感じた。 また、他の俳優陣も実に素晴らしい。特にポーランドの俳優陣は、自在に英語を操っており、さらに演技力も良かった。私は失礼なことに、観劇中はそれら俳優の方々の英語に、無名のハリウッド俳優を起用しているのかと思っていた。だが、実はポーランドの一流俳優だったことを知った。私の無知も極まれりだが、そう思うほどに彼らの英語は素晴らしかった。ポーランド映画はほとんど見たことがないが、彼らが出演している作品は見てみたいものだ。かなりの作品が日本未公開らしいし。