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蛸とシャンデリア
私が銀座の高級クラブでバイトをしていた時、Kさんというお客さんがいた。 Kさんは、ものっすごく、顔が怖い。スキンヘッドに、剃り上がった眉毛をいつもしかめている。道で会ったら、飛び退くレベルだ。 そんなヤクザみたいな見た目だけど、うちの店に来れるくらいだから、たぶん、堅気だ。 70歳のママが仕切るうちの店は、銀座で40年の老舗だった。そのためか、“お姉さん"もお客さんも年季の入ったツワモノばかり。60代はざらで、80代、90代の引退した政治家や経済界のトップもごろごろいた。二十歳になったばかりの私にとって、もくもくの煙草のけむりと、シャンデリアのぎらぎらの光に包まれたそこは、得体のしれない