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水銀の温度計 | Junko Takijiri
風邪をひきかけている。PMSと筋肉痛の体が、鉄分とたんぱく質を吸収するのを忘れ、ウイルスに熱を上げようとしている。 気温と気圧の低下で眩暈が起き、鼻づまりがひどくなり、喉が痛み出し、腕に鳥肌が立つようになった。 夕方、葛根湯をお湯で飲む。 足湯用のバケツにお湯を溜め、差し湯をしながら1時間浸かる。 沸いた血が、先ほど飲んだお湯を押し出す。 前腕に大きな玉の汗ができていくのをまじまじと見つめる(くらいしか、やることがない)。 足先が靴下の形に赤くなる。 結局熱いシャワーを浴びて、もう一度お湯を飲み、残ったお湯で雑炊を作り、腹に流し込んだ。 背筋を下りてきていた寒気が消えた。 頭から喉を通って腕に来ていた兆候が、鼻の根あたりの鼻づまりと、こめかみの鈍痛までに治まった。 下降が上昇に変わった。 体が、水銀の温度計になったみたいだ。 このままぐんぐん上がっていって、痛みを全部引っこ抜いてくれないか。 破裂して散った水銀は、ちゃんとガムテープで集めて捨てるから。