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レモンゼリー・カミングズ | Junko Takijiri
詩人のカミングズごっこと、「すくう」の話。 すくう:手のひらやさじなど、くぼんだ形のものを使って、液状・粉末状のものの表面に近い部分を、えぐるようにして取り出す。また、手のひらやさじなどで、液体の表面に浮いているものやその中にあるものを、下から受けるようにして取り出す。 レモン汁に水と砂糖を加えて温める。 ふりかけたゼラチンが溶けて粗熱が取れるまで、待つ。 カップに注ぎ、気泡をすくい、冷やす。 ゼリーをすくう。 表面がスプーンに抵抗する。 力少々を加えて突き刺す。 えぐりとる。 昨日は液体だったもの。 弾力に触れて気づく、「すくう」が内包する痛み。 水、蜂蜜、アイスクリーム、すくうとき、元の場所からの断絶がある。 「掬う(すくう)」と「救う」は同じ語源をもつらしい。 命を救うとき、たとえば手術室、医者はメスで患者の体を切り開く。 たとえば川、溺れる子の手を大人がつかみ、指が食い込むくらいの強い力で引き戻す。 地球や世界や人の心に「救う」があてられるとき。 救う人が救われる人を助け、存在を丸ごと包みこみ、傷つけないように抱きしめるようなイメージをもっていた。 これ、違うかもしれないな。 温和に見えて、平和に見えて、実は見えない刃物が存在をえぐる瞬間がある。 そのうえそれで救われるものは、ひとすくい、表面や部分に過ぎない。すべてじゃない。