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【#ゾッとする話】【#怖い話】【#実話】【#食人】ドナー隊の遭難 | 夏のホラー、冬のホラー
【#ゾッとする話】【#怖い話】【#実話】【#食人】ドナー隊の遭難 チャールズ・チャップリンの代表作『黄金狂時代』を再見する読者諸君は、その残酷なテーマに改めて驚かされることだろう。「欲」をテーマにしたこのブラックコメディは、雪山で飢えたチャップリンが己れの革靴を茹でて食べる場面で笑いのピークを迎える。 子供心に旨そうだなあと思ったあの靴は、実は海藻で作られたものだったとの説もあるが、当時の妻リタ・グレイによれば、本物の靴であったらしい。撮影を終えたチャップリンは腹痛を訴え、そのために撮影は1週間も中断されたという。 しかし、いくらチャーリーが完全主義者だったとはいえ、何故に健康を害してまで本物の靴を食べる必要があったのだろうか? その答えはロケ地となったネバダ州トラッキー湖畔にあると私は考えている。この地はかつてドナー隊が遭難した場所である。チャーリーはおそらく彼らに敬意を表したのだろう。もっとも、飢餓に陥った彼らは靴は食べなかった。人を食べたのである。 大西洋を渡って東海岸からアメリカ大陸に上陸した開拓者たちは、天候に恵まれた西海岸に入植するためには何千kmもの旅をしなければならなかった。長い旅路には様々な障碍が待ち受ける。ネイティブ・アメリカンの襲撃。無法者たちの略奪。しかし、そびえ立つシエラネバダ山脈こそが最大の難関であった。山を越せるのは雪の溶けた夏だけだ。そのためシーズンともなれば移住者を満載した馬車が列をなす。ジョージ・ドナー率いる総勢87名のドナー隊も「約束の地」カリフォルニア目指して旅立った。しかし、彼らは季節を間違えた。遅すぎたのだ。 1846年8月、ドナー隊はイリノイ州を後にした。ただでさえ遅い出発であったにも拘わらず、彼らの馬車を牽くのは馬ではなく牛。ノロノロとした砂漠の旅は困難を極め、ユタやネバタの砂漠を横断する過程で、既に5人が命を落とした。 ようやく山々が見え始めたのは10月下旬のことである。冬はもうそこにまで来ている。この時期の山越えは自殺行為だ。しかし、砂漠とシエラネバダに挟まれて進退極まったドナーは敢えて山越えを選ぶ。この山さえ越えれば、そこはもう「約束の地」だからである。