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テレパシージャパン社の「ドローン・パイロット・ソリューション」発表の補足
「ドローン・パイロット・ソリューション」の発表 本日、株式会社テレパシージャパンと株式会社AAA(トリプルエー)から、「ドローン・パイロット・ソリューション」が発表されましたが、少しこのプロジェクトに絡んでいるので、プレス発表の内容ではお伝えできない部分の補足をしたいと思います。先に断っておきますが、「ドローン・パイロット・ソリューション」はFPVによる操作をやる為のものではないです。業務用ドローンの開発に必要な機能の一部と考えて下さい。 Telepathy Jumperの利点 まず、ハードウェアのTelepathy Jumperですが、このブログを見ている人はおわかりだと思いますが、私も台湾のChipSIP社のスマートグラスを2年ほど前から担いで、色々の所で営業活動をしてきました。[ChipSIPのスマートグラス(Smart Glass)の評価ボードを入手した! | 暇村工房] 他社もそうですが、透過型ディスプレイは屋外で使うにはどうしても輝度が足りなく、直射日光や明るい所を見ながらだとディスプレイの情報を読み取ることが困難でした。しかし、Telepathy Jumperは、透過型のディスプレイではなくオリジナルの自社設計の生産のディスプレイを使用しており、昨年発表後に見せてもらい、その表示能力に驚きました。単なる屋外と言うことではなく直射日光があたっても全く問題なくディスプレイの表示が鮮明に見えるのです。 これは見た人じゃないとなかなか表現するのは難しいですが、私も商売がら多数のスマートグラスの試作品・製品を見てきましたがダントツの性能です。まあ、Telepathyには色々な過去があるので、知ってる人は「え、まだやってるの?」「どうせ・・・程度でしょ?」みたいなことをいう人も居ますが、みる価値はあるので機会があれば先入観無しで是非見て頂ければと思います。今までのスマートグラスを見たことがある人は絶対驚くと思います。 もともと私がスマートグラスをやり始めた一つの理由に、ドローンでの使用という課題がありました。しかし、透過型のディスプレイでは屋外での使用は全く望めない状況が2年ほど続きましたが、Telepathy Jumperの出現で、やっとドローンに使えるスマートグラスが出現しました。ちなみに、Telepathy Jumperの様にメガネの形をしていない物はスマートグラスと言わずに「アイウェア」というそうです。 スマートグラスの販売をしていると、必ず言われるのが「メガネの上につけられないの?」「メガネのレンズはどうするの?」です。スマートグラスでも何でも、ディスプレイの焦点は大体3m〜5mの所にあり近視の人はボケてハッキリと見えないのです。デモで見せても近視の人は「ボケてますね〜」と言うのですがしかたがないことです。またB2Bで使用する場合、スマートグラスを購入して、社員に装着させるとすると「レンズは会社持ちですか?社員持ちですか?」と言う大問題に直面します。会社は「何で社員のメガネを会社が買った上げる必要があるんだ?」社員は「何で会社から業務で支給されたメガネフレームに自腹でレンズを着けなければいけないの?」と。 Telepathy Jumperはその辺りは見事にクリアーしてあり、メガネのフレームを無くしてもちゃんと固定できる方式でアイウェアを実現しました。もちろんB2Bで一般的に使用される際に必要なヘルメットを装着してもアダプターを付けることで解決していて、頭の痛い「メガネ問題」をクリアーしています。 ドローンを操縦する時(ラジコンでもそうですが)は、普通サングラスを掛けて操縦する事が多いので、正にTelepathy Jumperは最適な製品と感じ採用しました。 Dronecodeについて Dronecodeはオープンソース・ソフトウェア/オープンソース・ハードウェアの無人機用のコントローラーです。(以前アスキーさんにインタビューしてもらった記事はこちらです)一般的に日本ではドローン(Drone)と言うと、プロペラが複数枚ついたマルチコプターの事を指しますが、Dronecodeがサポートしているのはマルチコプターだけではなく、無人の飛行機、無人のビークル(車)の3つのカテゴリをサポートしています。 基本的にハードウェアは一つで、中のファームウェアをそれぞれのジャンルに書き換えることでヘリコプター(シングルローター/マルチローター)、固定翼機(飛行機)、ビークル(車)に使用することが可能で、現在VTOL(オスプレイみたいな飛行機)の開発も進んでいます。 Dronecodeは現在Linux Foundationの元でプロジェクトが進行していて、国内外の多数の会社がそのプッロジェクトに参加してきており、有名なところでは最近パロット社も参加し、bepopでもDronecodeのファームウェアで動く様になっています。[Parrot Bebop running APM! - DIY Drones] Dronecodeの中心メンバーは3DR(3DRobotics)で、率いるのはあの「MAKERS」の著者クリス・アンダーソンです[クリス・アンダーソンのメイカー企業「3D Robotics」訪問記 « WIRED.jp] 現在ドローンを開発している会社は多数ありますが、中国のDJI社が一番有名ですがこの会社はAppleと同じように完全垂直統合の企業で、設計〜製造〜販売まで一貫して自社でやっています。最近ではドローンに搭載するデジタルカメラまで自社設計〜製造をしていて、その技術力には眼を見張るものがあります。 一方、3DRは、一番肝心なフライトコントローラ部分を全部オープンソースとして公開しており、まるでGoogle。あちらがAppleと言うならこちらはAndroid的なやり方をやっています。たくさんのコミュニティーメンバーに支えられてバージョンアップを繰り返しながら機能・性能・安全を向上させています。 オープンソース・ハードウェアであることで、クローンのフライトコントローラや本家のものより小型、軽量の物や色々なバリエーションのコントローラが存在するのも面白いです。しかし、日本ではこのオープンソースの情報を使ってフライトコントローラを自作したり、改良しようとする企業は残念ながら皆無です。 現在Dronecodeを使ったフライトコントローラの開発をはじめています。長年組み込み関係の開発をしていたので、その経験を活かしMade in Japan の製品を開発しようとしており、それにDronecodeを採用する予定です。やはりエコシステムは重要です。 なぜDronecodeを使うのか 例えば農業用のドローンを考えた時、一番重要なのは散布の濃度です。無人機での農薬散布は一般的に1反800ccの農薬を散布します。スプレーの幅が1.5mだとして、1反に800cc散布するためにはおおよそ1分程度で散布しなければなりません。現在、ウェイポイントを指定して自律航法で農薬散布を実用段階でやっている方は少ないと思いますので、普通はラジコン操作で散布をします。人が操作するので飛行速度にムラが出たり、風の影響で速度も変わります。しかし、現在のマルチコプターの農薬散布機は機体の速度にかかわらず一定の流量の農薬を散布します。 本来なら、スピードが上がったら散布量を増やし、スピードが遅くなったら散布量を減らし、静止したら散布を止める必要があります。しかし、そういう機能をもったマルチコプターの農薬散布機は存在していません。それはほとんどのマルチコプターのフライトコントローラーが他の外部のセンサーの値や状態を取り込んでフィードバックを掛けるという機能を持っていないからです。 オープンソースのDronecodeを用いることで、本来のフライトに係る部分はそのまま使用して、ポンプのモーターを飛行速度で制御する部分を追加し、ハード的にもポンプのモーターの速度コントローラーも作りこめばいいわけです。これは、正にオープンソース・ハードウェア/ソフトウェアであることの利点です。 また、これだけではなく、農薬タンクの残量、ポンプが正常に機能しているかを確かめる流量センサや圧力センサも必要になります。そういうセンサからの情報の入力もいたって簡単に追加することができます。 Dronekitについて Dronekitは今年になって発表されたDronecodeに関連するプロジェクトです。Dronecodeが機体や車体に積むコントローラーのファームウェア/ハードウェアのプロジェクトなのですが、Dronekitはそれらのコントローラを制御したりテレメトリデータを受け取って、色々なアプリ開発やプラットフォームを開発するためのSDKです。 現在発表されている物は、Androidアプリを作成するためのオープンソースのAPI群、PCでのアプリを作成するためのオープンソースのPython API群、クラウドプラットフォームを作成するためのライブラリ群があり、iOSアプリを作成するためのAPIのアナウンスもされていますのでもうすぐ可能になると思われます。 Dronekitを使うと 例えばドローン用のAndroidアプリを考えると3DRからTower(DroidPlanner 3)と言うアプリが出ています。[Tower (DroidPlanner 3) - Google Play の Android アプリ] 実はこのアプリ、オープンソースなのです。DrokekitのAndroid SDKの中にソースが入っています。ここまで大きいアプリだと読むのも大変なのでDronekit Android APIを使ったシンプルなサンプルソフトも入っています。 Dronekitを使うことでTowerみたいな本格的などドローン用のアプリの開発もできますが、オリジナルのアプリを作ることが容易作ることが可能になるということが重要だと思っています。なにせ、こういう切り口があるのは今まで無かったので。(DJIにもSDKは存在します) 先の農業用ドローンのフライトコントローラ用のアプリを考えた時、散布の流量、圧力、タンクの残量などの値がフライトコントローラに送られると、テレメトリデータとしてBluetoothや920MHz通信で送ることができ、そのデータを表示するAndroidやiOSやPCのアプリを簡単に作ることが可能になるわけです。もちろん、農業だけでではなく測量等で使用するカメラと同期させて撮影時のGPSの位置情報、傾き、高度なども取得することが可能になり測量データを取得するアプリの開発も容易に可能になります。 Telepathy JumperとDronekitを使うと 幸いにもTelepathy JumperはAndroidを搭載しているので、DronekitのAndroid用のAPIを使ってドローン専用のアイウェアを開発することが可能になります。 ...