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短歌誌「未来」2014年3月号に発表した短歌です。
 
 
蝙蝠をもう何年も見てゐない気がする、これはちよつとまづいぞ
 
 
鞆の浦空き家バンクのサイトをね、じーつと見てたりするわけですよ
 
 
ヤドカリを飼ふのが趣味と聞いてから親近感のある沢野さん
 
 
すき焼きにカリフラワーを入れてごらん なぜそんな眼をきらきらさせて
 
 
真つ赤な嘘といつて耳まであかくしてバターコーヒーうまさうに飲む
 
 
みづいろに建物のかげを塗つてゐた 沖で火山が噴火してゐた
 
 
一日のはじまりが午後四時といふ友だちがぼくにくれた柿ピー 
 
 
「錆」といふ漢字の「円」のとこが好き まだ子どもだと思つてゐたら
 
 
芽キャベツの栽培マニアのあひだではそれと知られた人なんだつて
 
 
蠟梅のかをりほのかなバスの中かをりの主が降車してゆく
 
 

iPhone6plus Instant110

短歌誌「未来」2015年04月号に発表した短歌です。
 
 
一本の葉の落ちつくした欅の木 立原正秋『あだし野』を読む

 

都市を視る、そんな思考のあり方を日野啓三が教へてくれた

 

がんがたんがたがたがたん彼方此方にぶつかりながら筒井康隆

 

青春なんてものがぼくにもあつたのか分からないけど小林信彦

 

なんでもない家族のくらし羨しくて庄野潤三『夕べの雲』を

 

田中冬二が冷凍保存してくれた古きよき日本を味はつてゐる

 

池波正太郎を気どつて小鍋立あさりと大根うす味で煮る

 

月のうらがはすつと見とほす眼力のさえざえとして倉橋由美子

 

みづのおとがかすかに聞こえ 存在のふるへのごとく古井由吉

 

あらためて塚本邦雄を読みながらジンビターズを飲る午前二時

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短歌誌「未来」2014年5月号に発表した短歌です。


なんでまた新宿に居るんと訊かれても、それには容易に答へられない
 

地下6階 たしか電車に乗るためにひたすら降りてきたはずだよね


「一時間に一本の電車やりすごし写真とつたよ、水平線の」


夕焼けは5分が勝負、とえらさうに iPhone 写真家が言つてます


しらたき派とマロニー派との論争に葛切り派まで参戦したの


銭湯にケロリン桶がなくなる日 はじまりはきつとそんな風に


ぼくですか? ブックオフなんかでせどり屋の真似事をして遊んでゐます


柴田天馬の『聊斎志異』に決めてゐる無人の島へ持つていくなら


あらためて「ツチノコ=ねずみ説」問へばきみはまたかといふ顔をする


はい、おみやげと渡されてゐるトゲトゲの木の実、なんか、すごくうれしい