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Sign up“人格形成期の貧困経験は、人の心をねじ曲げる。思春期の少年少女は、自分に責任のない苦境が心を蚕食する日々にそうそう堪えられるものではない。そういう日々のどす黒い沈殿物が外に向う場合は他人や世の中を恨み続け、自分に向う場合はすべてを諦めて希望ある人生から早々に降りる。”
—タナダユキ[監督]『ふがいない僕は空を見た』(2012年)を観た。: ラジオ批評ブログ――僕のラジオに手を出すな!
『ふがいない僕は空を見た』に話を戻すと、この映画の白眉は、予告編などで印象的にフィーチャーされている前半のコスプレとセックスの部分ではなく、やはり団地の高校生ふたりを描いた後半だと思う。
とりわけ印象的だったのは、団地のふたりが校庭で戯れるシーン。あの瞬間こそが、あのふたりの人生でまぎれもなく最も美しい瞬間で、最も美しい瞬間が最も美しく描かれているのだと思う。それほど、日常が過酷で荒んでいるのだ。ライムスター宇多丸 団地、ね。アメリカで言う、要は「プロジェクト」、公団住宅。これ、アメリカのヒップホッ プとかラップに通じてる人だったら、まぁ、よくご存知の話だと思いますけども、要は、「オレの生まれ育ったプロジェクト」、ラッパー、ハードコア・ラッ パーがよく出てくる、要は貧困の象徴なわけですよね。
「そういうヒップホップ的な貧困の現実なんてのは日本にないから、日本語ラップをやるリアリティーはない」だなどと80年代後半から90年代頭にか けて、訳知り顔の論者がよく言ってましたけど、どの口さげて言ってたんだ。まさに現代日本にもそういう現実はあったし、あり続けてきたし、今もあるってい うことですよね。
○「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」(TBSラジオ、2012年12月8日(土)21:30-24:30